本日の演目
演目「うちに有給はないよ」と言い張る店長
登場人物有給を残したまま辞めたいバイト/制度を知らない(ふりをする)店長
上演時間この記事は3分で読めます

有給の話を出した瞬間、店長の顔が変わりませんでしたか。

「うちみたいな小さい店に有給なんてないよ」「忙しいのに取れるわけないでしょ」——今日そう言われて、なんとなく引き下がってしまった人のための記事です。

レンくん
レンくん
バイトなのに有給って、そもそもあるんですか…?店長、鼻で笑ってましたけど…
幕田さん(支配人)
幕田さん(支配人)
あります。その笑いは、制度の説明ではなくただの空気です。まず結論からいきましょう。
今日これだけ覚えて帰ってください
  • 有給は条件を満たせば自動的に発生する法律上の権利。会社の制度でも店長の胸三寸でもない
  • 退職するときの有給は、会社側に拒否の打ち手がほぼ無い「一番強い場面」
  • 口頭で言わない。退職届と有給申請をセットで、書面で出す

SCENE 01「うちにはない」が通らない理由

有給休暇は、会社が「作る」ものではありません。半年以上続けて働き、所定労働日の8割以上出勤していれば、法律上自動的に発生します(労働基準法39条)。

バイトでもです。週1勤務でも「比例付与」という仕組みで日数が発生します。だから「うちにはない」は制度の話ではなく、単なる拒否の空気です。

レンくん
レンくん
でも「忙しい時期に取られたら困る」って言われたら、こっちが悪い気がしてきて…
幕田さん(支配人)
幕田さん(支配人)
いい質問です。たしかに会社には「時季変更権」——忙しい時期は別の日にずらしてもらう権利——があります。ところが、あなたの場合はそれが使えないんです。

SCENE 02辞めるときの有給が、実は一番強い

理由はシンプルです。時季変更権は「別の日にずらす」権利。しかし退職日が決まっている場合、ずらす先の日がもう存在しません

だから退職時の有給消化は、会社側に合法的な拒否の手段がほぼ無い、労働者側が最も強い場面とされています。「忙しいから」は、退職前の有給には通らない理屈なんです。

SCENE 03手順は4つ。まず残日数、次に書面

① 残日数を確認する(今日できる)
給与明細・勤怠システム・雇用契約書のどれかに載っています。分からなければ「有給の残日数を教えてください」と聞くだけでもOK。メールやLINEで聞けば、それ自体が記録になります。

② 退職届と有給申請をセットで書面提出
「○月○日をもって退職します。最終出社日は○日とし、以降は年次有給休暇を取得します」。この1枚です。口頭は「聞いてない」が起きるので、必ず書面で。受け取ってくれない上司への対処はこちら → 「受け取らない」は退職を止められない

③ 拒否されたら、証拠を持って労基署へ(無料)
有給の拒否や取得への嫌がらせは指導対象です。②の書面の控えと、断られたやり取りのスクショを持っていきましょう。

④ 交渉ごと消耗したくないなら、労働組合型の退職代行
有給消化の「交渉」は民間型の代行にはできません。労組型(25,000円前後)を選んでください。

幕田さん(支配人)
幕田さん(支配人)
ここで電卓を叩いてほしいのですが、有給が20日残っているなら、消化分の給料だけで代行費用の元が取れる計算になることが多いです。時給1,200円×6時間×20日で14万円強。25,000円払っても、おつりが来ます。

タイプの選び方はこちらでどうぞ → 退職代行の選び方【30秒診断つき】

事件メモ ── 有給20日を置いて辞めかけた話
状況飲食チェーンバイト・3年目(22歳)
発端退職を申し出たら「うちに有給はない」と一蹴される
転機書面で退職届+有給申請を提出。店長は無視、労組型代行に切り替え
結末有給20日消化で退職成立。最後の給与明細に有給分が全額載っていた
※視聴者の体験談をもとにした再現です

SCENE 04店長の返し文句、ぜんぶ答えを置いておきます

「バイトに有給はない」
→ あります。週1勤務でも比例付与の対象です。

「買い取るから消化するな」
→ 有給の買い取りは原則認められていません。退職時に残った分を会社が任意で買い取ることはありますが、消化を拒否する理由にはなりません。

「引き継ぎが終わってない」
→ 引き継ぎは誠意の範囲で。有給を潰してまで行う義務はありません。

ただし、こういう場合は話が別です
  • 勤続半年未満、または出勤率8割未満 → そもそも有給が発生していない可能性があります
  • 退職日まで日数が足りず全消化できない → 物理的に入る日数分まで。退職日を後ろにずらす交渉は可能です
  • 会社と揉めて損害賠償などの話が出ている → 有給の枠を超えます。この記事と弁護士型の代行へ
レンくん
レンくん
…有給って、遠慮しながらお願いするものだと思ってました。
幕田さん(支配人)
幕田さん(支配人)
働いた分の権利を、書面で受け取って帰るだけです。遠慮する場面ではなく、精算する場面。カレンダーに赤丸をつけて、あとは手順どおりに。
次回予告

「有給を使えば、明日からもう行かなくていいのでは?」——その発想、正解です。仕組みを全部書いた回があります。
「即日退職」は本当にできるのか。できる仕組みと、できないと言う人の嘘


※本記事は一般的な情報の提供です。個別の法的判断は労働基準監督署・弁護士にご相談ください。
※引用した会話・事件メモは視聴者の体験談をもとにした再現ドラマであり、実在の企業・人物とは関係ありません。